妊婦と読書 ― ことばは、今も。
本好きOLが妊婦になりました。妊娠生活と、読書記録を綴ります。
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妊娠したかも?から妊娠発覚まで(7月26日)
入籍から11か月、新婚旅行から帰ってきて少し経ったタイミングで、突然発覚した妊娠。

妊活をしている人には申し訳ないくらい、あっという間に、本当に簡単に妊娠してしまいました。
基礎体温すら測っておらず、そろそろ妊娠に向けて何かしたほうがいいのかな?なんて話し始めていた矢先の妊娠発覚でした。

妊娠に気づいたきっかけは、多くの人がそうであるように、生理が遅れていたこと。
あれ?今月生理が来ないのかしら?もしかして妊娠?と思いつつ、何日も経っていくうちにだんだん不安に。
本当に妊娠していたらどうしよう。妊娠したら、これまでのような自由気ままな生活、例えば会社帰りにふらっと好きな洋服のお店に寄って帰るようなことができなくなる、これからどんどん体が不自由になる、そして子どもが生まれたら責任を持ってその子を育て続けなければならない…とほとんど恐怖のようなものがのしかかってきて、今日こそ生理が来ないかな、今日こそ来ないかな、とチェックする毎日。
上記の通り、妊活をしていたわけではないので、心の準備ができていなかったのでした。
夫に「生理が遅れている。もしかして妊娠したかも!」と話しても「そんなに簡単に妊娠するわけないよー」と夫もとりあってくれない状況。

しかし、生理が一週間以上遅れたあたりで、これは妊娠したに違いない、と確信し、すると急に理由もなくなぜかわくわくしてきたのです。私は今、妊娠という貴重な経験の入り口に立っているのかもしれない!

生理予定日から9日経った7月26日、初めて妊娠検査薬を購入。尿をかけて1~3分ほど待つと、陽性の場合、赤い線が出てくる、というが…尿につけた途端、1分も待つことなく(おそらく10秒くらいで)、赤い線が出てきた!
これは、明らかに妊娠している!!と慌てて夫に妊娠検査薬を見せつけました(笑)!

それからの夫の変貌ぶりときたら!
さっそく妊娠・出産に関する本をAmazonでポチり、料理をはじめとする家事を着々とこなし始めた!まだつわりの症状もなく、元気だから私もやるよー、と言っているのに、てきぱき作業をこなしてくれて、なんとありがたいこと。

妊活で苦労している人もたくさんいると知っているので、こんなにすんなりとおなかに赤ちゃんが宿ったのはとても恵まれていることなのだと思います。これから体に気をつけて、大切に育てていきたいと思います。


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日本子どもの本研究会全国大会に行ってきました
日本子どもの本研究会全国大会

以前から、子どもの本について学んでみたいなと思っており、日本子どもの本研究会という一般社団法人が主催する全国大会に行ってきました。私は会員ではありませんが、日本子どもの本研究会はこうした催しの参加を非会員にも認める、開けた団体のようです。

まずは落合恵子さんの記念講演を拝聴。
さすがとてもお話が上手で、カッコいいおばさまでした。72歳という年齢を聴いてびっくり。こんな70代になりたいものだわ。
落合恵子さんと言えば、子どもの本専門店クレヨンハウスのイメージがありますが、事前にプロフィールなどを確認したところ、最近は政治的な活動が目立つ様子。いったいなぜ?と思いましたが、「子どもには良い本を与えていればそれで十分、というわけではない。いくら本の中の世界が素晴らしくても現実の世界が伴っていなければダメ。子どもたちのためにより良い社会を作っていくことが大人の使命。落ち着いた世の中でなければそもそも本を楽しむこともできない」といった趣旨のお話に納得。

ご自身の母親の話や、母親に読み聞かせをしてもらった時の記憶、母を介護した時のこと、政治に対する不満、最近執筆した本の話など、話題は多岐に渡っていましたが、とても面白かった。
特に、母親が親戚から離縁されても、非嫡出子として落合恵子さんを一人で産もうとしていた際に、近所の老夫婦が毎朝ひっそりと卵を届けてくれたというエピソードが良かった。何より、その老夫婦が恵子さんの母親に対し、「一人でかわいそうだから卵をあげる」と言うのではなく、「卵が余ってしまって困っているから、食べてくれる?」と言って卵を渡したというエピソードに人の温かさ、心の豊かさを感じてジーンとしてしまいました。(涙ぐんでいるお客さんも)

そのあとはワークショップで、読書のアニマシオンに参加。アニマシオンのなんたるかをあまり理解せずに参加したのですが、今回は、皆で共通の本を読み、クイズを作り、チーム戦でクイズに回答する、といった取り組みを経験しました。
限られた時間に、大人のみが参加するワークショップだったので、通常小学校などで導入するときとは少し異なるやり方でのワークショップだったようですが、なかなか白熱して面白かったです。そのクイズの特性から、表面的な理解にとどまってしまう恐れがありそうな取り組みだなとは思いましたが、本が嫌いな子、苦手な子にとってはゲーム形式で本と向き合え、読書への心の障壁が薄れて良いかもしれない、と思いました。

それにしても年齢層が高かった…60代が中心、といった印象だったので、定年後の読書ボランティアの方が多かったのかしら。
若い人ももっと興味を持ってもよいのでは?と思ってしまいました。
恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)
国際ピアノコンクールを舞台に、四人のコンテスタントを中心とした人間模様と音楽を描いた小説。



プロのレベルとはかけ離れているが、私も学生時代は吹奏楽コンクールに出場し、今も趣味で音楽をやっているので、音楽の世界が独特であることや、コンクールのドラマ性などは実感できるものがある。
何百回、何千回と練習しようと舞台で演奏するのはたったの一度だけ、しかもコンクールにおいては、途中で選考から漏れてしまったら、それ以降の課題曲は一度も舞台で演奏せずに終わってしまうという、その無情さ。音楽は、演奏者のその時の精神状態を表し、変にあがってしまったら普段通りの演奏ができなくなり、今までの努力が水の泡になってしまうという恐怖。
また、プロになるには小さいころからひたすら練習に励み、楽器代、衣装代、渡航費などとにかく莫大なお金がかかるため、恵まれた家庭の子どもしか音楽を続けることはできず、さらには有名な先生に師事していないとコンクールで不利になるなど、音楽界の独特さも良く描かれている。

本書で中心的に描かれている四人は、一人一人様々な背景を持っており、偉大なる師、いつも連れ添ってくれた母、優しい祖母など、それぞれに多大な影響を与えてくれた人、いわばメンターを持っていて、そこに小説としての面白さがある。偉大な音楽家が遺した謎めいた推薦状に、異端のコンテスタント、自分を音楽の世界へと導いてくれた幼馴染との奇跡の再会など、いかにも小説らしい展開もあるが、随所で感動してしまうことも。特に栄伝亜夜が一次、二次へと進むにつれ、周囲のコンテスタントの影響を受けながら成長していくさまがよかった。
このような一人一人の背景と心境を読んでいるうちに読者はおのずといずれかのコンテスタントを応援したくなり、まるでひいきのチームが出場しているスポーツの実況中継を見ているような感覚で、はらはらとしながら結果発表のシーンを待ちわびるのだ。

そころで、ピアノコンクールが舞台なだけあって、この小説の大半はピアノの演奏シーンで構成されている。音を聴かせることのできない小説において、音楽を表現するのはさぞ難しいだろうが、それぞれの演奏者の音の特長や、曲が持つ歴史的背景、さらに後半ではその音楽から喚起される物語を表現することで、聴こえないはずの音を「聴かせて」いる。その表現力が素晴らしい。
とはいえ、やはりどんな曲か実際に聴いてみたいな、と思ったら、本書に登場するピアノ曲のCDも販売されていた。さすがだ。こちらも欲しくなってしまうのが人情である。





ところで、私はというと、天才肌タイプよりも一般人に近い人間に興味がわくらしく、「生活者の音楽」をめざし、楽器屋さんに勤務しながらコンクールに臨む最年長の明石を応援していたが、さて、果たして結果は…?

土居健太郎「10年つかえるSEOの基本」(技術評論社)
SEOの具体的なテクニックなどが書かれている本ではなく、考え方をシンプルにまとめた本。
あっという間に読めてしまうので、私のような全くの初心者が概念を理解するのには良いが、既にSEOについてある程度勉強している人だと物足りないかもしれない。



SEO対策というと、以前問題になったDeNAのまとめサイトのように質の悪いコンテンツを大量に用意したり、キーワード検索に引っかかるよう、日本語が不自然でもよいからとにかくキーワードを大量にちりばめる、といった悪いイメージが強い。
しかし、この本は至極真っ当で、検索する人にとってよいサービスにしよう、質の高いコンテンツを充実しよう、ということを繰り返し述べている。
検索の仕組みもどんどん進化しているため、今後は質の悪いコンテンツ、いわゆるマジックハットSEOは機能しなくなっていく、というのが本書の主張だ。

本書のポイントをまとめると下記の通りである。

1)検索エンジンは「検索する人の質問に回答する仕組み」
SEOの基本的な取り組みは、検索する人にとって「回答」となるコンテンツを用意し、アルゴリズムの選定の結果、優先的に表示されるようにすること。

2)現在はSNSなど検索以外の流入経路が増え、また検索されるキーワードも様々
まず、ターゲットとする人がどのような背景において、どんなキーワードで検索しているのか知る必要がある。具体的なキーワードから、検索者のニーズをうかがい知ることもできる。

3)ページのタイトルが重要、meta descriptionにもキーワードを入れてわかりやすく表現する

4)小手先のテクニックではなく、すぐれた独自コンテンツを生み出すことが何より大事

5)サイトのリンクを集めることは最重要項目の一つ
継続的にコンテンツを制作して人を集め、リンクが自然に増えていくと好循環でサイトを訪問する人が増えていく

キーワード検索は調べたことがなかったが、見てみると面白そうだ。
私はHP担当者などではないので、現状、実際に業務でSEO対策をすることもないが、先述のようなブラックSEOがはびこるのではなく、本書に書かれているように、SEOが優良コンテンツへと人々を導くために有益なものであるとよいと思う。
飯間浩明「三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から」(新潮文庫)
『三省堂国語辞典』の編纂者による、辞書エッセイ。
筆者の言葉に対する、そして何より『三省堂国語辞典』に対する熱い思いが伝わってくる一冊。



国語辞典にあまり興味がない人からしてみれば、辞書は皆同じに見えるかもしれないが、それは大きな間違いである。
それぞれの辞書にはそれぞれの編集方針があり、ターゲットがおり、こだわりがある。本書はまず、主な辞書の特長を紹介するところから始まる。

『三省堂国語辞典』の特長は、現代使われている言葉を、中学生にも分かりやすく説明しているということだ。
現代広く使われている言葉であれば、「www」も「ガン見」も「中の人」も辞書に載る。また、たとえば「的を得る」「汚名挽回」といった、よく使われるが従来誤りとされてきた表現(前者は「的を射る」、後者は「汚名返上」が正しい)も、状況に応じて辞書に取り上げる。
これらの新語や言葉の誤用、若者言葉などは、頭の固い学者なら、「言葉が乱れている」「誤った使い方だ」と切り捨ててしまいそうだが、筆者は頭ごなしに誤っていると否定するのではなく、用例を集め、状況を分析し、言葉の変化がなぜ生じたのかを調査し、その調査結果を辞書に反映させていく。その丹念な姿勢にはただただ感服、である。
そして、新語や誤用に関する筆者の解説を読んでいると、改めて言葉は生きており、日々変化しているということがわかる。

もちろん、筆者の調査対象となる言葉は、新語に限らない。たとえば「ライター」の語釈を書くために、実際にライターを買ってきて分解し、その構造を確認してみたり、「ゆべし」の語釈を書くために、実際にゆべしを食べてみたりと、一つの語釈を書くためにここまでするのか!と驚かされることばかりだ。

言葉を収集するためのツールが紙の「用例カード」からタブレットなどに変化した現在も、言葉に向き合う辞書編纂者の真摯な姿勢は変わらない。
単純なもので、このような本を読むと、もっと言葉を大切にしたいものだ、としみじみ思う。
最近はネットでささっと言葉を調べて満足してしまい、丹念に辞書を引く機会が減っていると思うが、もっと言葉を丁寧に扱う人が増え、筆者の努力が一般の人に伝わることを心から願う。