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安福望「食器と食パンとペン わたしの好きな短歌」(キノブックス)
イラストレーターの安福さんが1日1首、好きな短歌を選んで絵をつける人気ブログ、「食器と食パンとペン」。
その厳選作品を書籍にまとめたものがこちら。



やわらかいイラストと、若手歌人の作品を中心とした、瑞々しく共感できる短歌の数々が特徴的。
短歌集というというとかたいイメージをもたれそうだが、とてもなじみやすく、やさしい本になっている。

気になった短歌を3点ほど、ご紹介。

近づけば光らない石だとしても星 それぞれに夢を見ている(田中ましろ)

とても悲しい歌にも読めるし、ささやかな希望がある歌にも読める。
悲しい解釈⇒誰もが光る宝石の原石、なんていうのはきれいごとで、実際に夢をかなえることができるのは、ほんの一握りの人間のみ。かなわない夢は光ることなく、人々の心の中で眠り続ける。
希望をもった解釈⇒人ひとりひとりは特別な光を持った存在でないかもしれないけれども、みんな心に小さな夢を持って生きている。
イラストはコップの中の星屑に埋もれて眠るサイの絵だろうか。やわらかい絵だから、きっと希望を持った歌なのだ。

たくさんのたくさんの人がいる中でただ手を繋げる人を探した(後藤葉菜)

群衆の中の孤独。1人でいるときよりも大勢の人に囲まれているほうが孤独を感じる不思議。
自分の横をひたすら通り過ぎる無関係な人たちの中から、大切な人を探し出す、その賢明な気持ち。この歌もなんだかちょっと悲しい。

☆さよならをちゃんと言わなきゃ永遠に春にならないような気がする(山本左足)

イラストはお花畑の中にいるのに、こたつから抜け出せない少し物憂げな女の子。
過去に足を取られて、しがらみから抜け出せない。
別れを告げるのはつらいけれど、前に進むためには痛みを伴わなければならない時もある。

はっ、なんだか悲しい歌ばかり選んでしまったようだ。
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