ことばは、今も。
小説を中心に、ビジネス書や古典まで。本好きOLの読書日記です。
プロフィール

ようこ

Author:ようこ
本が好き!雑誌が好き!なアラサーOLです。

これまでの訪問者数

最新記事

カテゴリ

最新トラックバック

月別アーカイブ

最新コメント

フリーエリア

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

読売新聞教育部「大学入試改革-海外と日本の現場から」(中央公論新社)
2020年から日本の大学入試が変わると話題になっているが、では海外の入試はどのように行われているのだろう?と思って手に取った本がこちら。



本書ではアメリカ、台湾、韓国を中心とした各国の入試状況と日本の入試改革に関する取材がまとめられている。その概要を下記にまとめる。

★アメリカの場合
複数回実施の共通テストSATに加え、高校時代の活動実績や小論文、面接などで総合的に合否が決まるアメリカの大学入試。SATは日本の大学入試改革の参考とされる存在ではないかと思うが、そのSATも近年は出題内容が高校での授業内容とかけ離れ、塾に通って対策をとれる子が有利になるという批判にさらされ、見直しが行われた。変更後は教科横断型の論述や統計データの読み取りなど、まさに日本の新試験でも話題にあがっていた問題形式となっている。
注目すべきは日本のように1点刻みで合否が決まるのではなく、ボランティア活動などの課外活動が重視され、大学によって差はあるものの、「いかに大学に貢献できる人物か」「大学の環境、校風にマッチしているか」を見ており、多様な人材を確保することに重点を置いているという点である。入試というよりは就職活動の採用面接のようで、特に“生徒が学校に貢献する”という意識は日本人にないため、その採点基準には違和感を覚える。テストが満点でも面接で落ちる可能性があり、評価基準もあいまいで、不公平感があり、日本では受け入れにくいだろうなと感じた。

★台湾の場合
台湾では共通テストを年2回行っている。1回目は三年生の中盤に行われる「学科能力測験」。2回目は卒業後に行われる「指定科目考試」。前者のほうが圧倒的に受験者が多く、後者は「敗者復活戦」として捉えられている。前者は学力試験に偏った評価にならないよう、面接や課外活動の実績と総合して判断するAO入試型。かつての受験戦争の激化への社会的批判により、推し進められた形だ。しかし、やはり評価基準の曖昧なAO入試は不公平だという不満や、「学科能力測験」の後は合格した生徒が遊んでしまい、授業が成立しなくなるという問題も生じている。特筆すべきは、台湾大などが地域格差を解消するため、各学校につき1~2人を推薦できるという繁星推薦を設け、地方の生徒を集めようとしている点だ。しかし、学校によってレベルがバラバラなので、都会の生徒に対する逆差別になりそうで、やはり不公平感があると感じた。

★韓国の場合
日本以上に学歴社会で知られる韓国。過度な受験競争を緩和しようとAO型の入試が広がっており、進学校では詰込み型の学習よりも発表などのアウトプットや面接対策に力を入れている。塾通いを減らし、受験競争を緩和させようというその取り組みは、大学の個別試験での教科の筆記試験を法律で禁止し、TOEICなどの外部試験の資格を調査書に記載することも禁じるなどの徹底ぶりだ。しかしどんな方式にしてもその対策をする塾ができ、いたちごっこの状態が続いている。大統領が変わるたびに入試制度が変わってしまうという状況もあり、模索状態が続いているといえるだろう。

どの国の入試制度にも一長一短あり、完璧な入試というのはそうそうないということを感じさせられた。
気になったのは、本書に載っているのがハーバード大をはじめとする超一流大学の事例のみで、一般的な大学の例ではないということだ。本書の最後の方で定員割れしている日本の大学の事例が紹介されていたが、他国の取材でもトップ校だけでなく大多数の大学の現状を知りたいところである。

スポンサーサイト
松林弘治「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」(メディアファクトリー)
タイトルはぎょっとするが、プログラミングのことを全く知らない人を対象に、難しい言葉を一切使わず、プログラミング教育の概要を書いた良書。



本書はプログラミング教育を推奨するオバマ大統領の言葉の紹介からはじまり、IT業界の成功例、世界各国のプログラミング教育の現状、日本のプログラミング教室の紹介をしたのち、そもそもプログラミングとは何か、どんな意味があるのかを説明していく。さらに、教育用プログラミング言語やイベントの紹介を通じて、子どもにプログラミング教育を受けさせたいと思っている親の背中を押すような構成になっている。

プログラミング教育の現状についてはすでに知っていたので、私にとっては「そもそもプログラミングとはなにか」を説明した章がとても勉強になった。「アルゴリズム」と言えばNHKの「アルゴリズム体操」くらいしか知らない私のような人でも理解できるよう、簡単な算数の問題や日常生活の問題に置き換えて説明している点がとてもやさしい。(ちなみに、「アルゴリズム」とは問題を説く手順、その手順を書き下したものが「プログラム」であると学んだ)
また、最近さまざまな教育用プログラミング言語を耳にし、素人にはその違いが分からず混乱がちだが、主要なものがまとめて紹介されているので便利である。

プログラミングの世界は日進月歩で今日学んだものがすぐに使えなくなり、常に学習し続けなければならない、という現実の厳しさにはやはりちょっと躊躇してしまう。また、ブロックを並び替えるだけの教育用のプログラミング言語と実際のプログラミング言語とではレベルに大きな差があり、一部の人を除いて、本格的なプログラミングを学ぶのはハードルが高いように感じてしまった。

しかし、デジタルに囲まれて生きている今、漠然と「仕組みのわからないものに支配される恐怖」があるので、身の回りにあるものが実際どういう仕組みで動いているのかを知っておくことは、子ども・大人を問わず、必要なことなのではないだろうか。
そしてそれだけでなく、本書を読むとプログラミング教育とは子どもの創造性を育むものだと実感できる。我々はプログラミングというとひたすらパソコンに向かう、非人間的で無味乾燥なもの、と思いがちだが、そうではなく、プログラミング教育は取り組み方次第で人とのコミュニケーションを生む、クリエイティブで魅力的なものだと感じられるだろう。

それにしても、このタイトルにしたことにより、本来届けたい読者に本書が届かなくなってしまっている気がする。
「おわりに」から察するに、筆者もこのタイトルにすることに戸惑いがあったのではないか?
本の内容とタイトルにギャップがあるのが残念。