妊婦と読書 ― ことばは、今も。
本好きOLが妊婦になりました。妊娠生活と、読書記録を綴ります。
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ちきりん「「自分メディア」はこう作る!」(文藝春秋)


有識者の文章ではなく、一般人であるブロガーの記事が読まれるというのはどういう現象なのだろう?と思い、読んでみた。
読んでみると、ちきりんさんは自分なりのこだわりを持ってブログを運営してはいるようだが、サブタイトルにあるような「超戦略的」というほどの戦略があるわけではないと感じた。
筆者自身も書いているが、一つの記事が炎上したのをきっかけに、時代の波に乗って広がっていったのだろう。

しかし、ちきりんさんは子どものころから文章を読んだり書いたりすることが好きで、長年日記をつけるなど文章力には長けており、さらに米国の大学院に留学した過去もあり、外資系の会社で働くなど華々しいキャリアも持っているようなので、はじめから物事を考察し文章にまとめあげる素地を持っていたことがわかる。当たり前だが、何もないところで理由もなくブログがヒットするわけもなく、そうした素地のあるちきりんの記事が多くのひとに「うけた」のであろう。

ベストエントリを見ると、納得できる内容の記事もあるが、これは確かに炎上しそうだという記事も多分にある。(貯金をすることは自分が今後それ以上稼げないことを証明しているようなものだからお金はすぐに使え、という記事や、就職活動を適正化するために企業は学生から受験料をとるべき、という記事など) これらも記事をもとに人々が議論を交わし、ブログが活性化するきっかけとなっているのだろう。

驚いたのは、ブログの人気が出てから、一気に出版社からの出版依頼が殺到していることだ。人気のブログを書籍化したら売れるだろうと、深い考えなしに出版社が次から次へとオファーをしているように見受けられ、出版が遅れたメディアであるように感じ、その姿勢にも悲しくなった。

今、ブログのみならずSNSなどによって多くの人が「自分メディア」を持つようになった。
新しいメディアとしてそれをどう生かしていくのかを考えるのは、とても楽しいことだ。

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金井壽宏「働くひとのためのキャリアデザイン」(PHP新書)
キャリアデザインなるものに興味を持って手にとってみた本がこちら。



書かれていることは至極ごもっともなのだが、当たり前のことばかりであまり新たな発見はなかった。
本書で繰り返し唱えているのが、「節目」のみキャリアをデザインし、あとはドリフトする(流れに身を任せる)のがよい、という考え方である。そして、その「節目」では他者とのつながりの中で、相互依存により、自分のキャリアが作られていくのだという。
さらに人生の「節目」を発達段階に応じて捉え、特に新入社員として入社するタイミングとミドルに差しかかったタイミングでのキャリアの考え方や課題について詳しく論じられている。

発達段階に応じたキャリアの捉え方を書いた後半部分が面白い。ミドル以降は、老いていくのみだとマイナスイメージを抱きがちだが、「いくつになっても一皮むけるキャリア」を考え、その年齢に応じた発達課題に取り組んでいく、という考え方は、人はいくつになってもその時々で求められているものがあるのだと前向きな気持ちにさせられる。

ただ、最も気になる“いつを「節目」と定めるか”についてや、その「節目」の際にどうキャリアをデザインするかという部分が不明瞭なので消化不良の感がある。本書はハウツー本ではなく、どちらかというと学術よりであり、理論的かつ理想的なことが書かれているので、実践的なアドバイスはあまりない。
そういったことを知りたい場合は、より実践的な本を探してみる必要がありそうだ。


草野真一「メールはなぜ届くのか」(講談社ブルーバックス)
先日、好奇心旺盛な祖母(94歳)に「デジタルってなんだい?」と聞かれ、何と答えたらよいものやら分からなかった。
さらに「アプリってなんだい?」と聞かれ、これも答えに困った。
アプリとはなんだろう!
考えてみたら、毎日使っているのに、インターネットの仕組みすらよくわからない。何か初心者向けにわかりやすく書かれている本はないものか…と探して見つけたのが、こちらの本。



本書では、メールが届く仕組みをはじめとして、インターネットの仕組みが基礎の基礎から説明されている。
デジタルデータがすべて1と0の列でできていることの説明からはじまって、郵便局などの身近な例にたとえながら丁寧に説明されているので、知識ゼロでもとてもわかりやすい。

本書を読んでいると、私たちがウェブページを検索して閲覧するまでに様々な工程があることがわかる。
そして、“データはパケットに分割され、また復元される”、
“ウェブページを閲覧するまでにルーターをいくつも経由して(たらいまわしにして)目的のウェブサーバまでリクエストが届く”、
など意外と効率の悪い(?)作業をしていることに驚き、それらの多くの動作を機械が一瞬にして終えてしまうことに感動を覚える。
グーグルの社員すらよく知らないであろう、「サーバーはどこにあるのか?」という新たな好奇心も芽生えてくる。

パソコンに苦手意識を持っている人におススメの1冊だ。
池上彰・佐藤優「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」(文春新書)


世界史の知識に乏しく、「イスラム国」をはじめとする最近の国際情勢をニュースで見ていていも、その歴史的経緯などが判然としないので、読んでみた。
しかし、この本はある程度世界史の知識があり、且つ日ごろきちんとニュースをチェックしている人に向けて書かれており、私のような知識に乏しい人間が読んでも、いまいちよくわからない。地図も載っておらず、順序立てて歴史を述べている本でもないので、初心者にとっては不親切に感じられるだろう。
本書で触れているテーマは、中東の情勢、中国、ドイツ、アメリカ対ロシア、日本の沖縄問題、各国の教育状況…と多岐に渡るが、興味深った二点を下記に述べる。

1・中東の情勢
イスラエルのインテリジェンス機関の元幹部をして「分析不可能」といわしめている中東情勢。確かに読めば読むほど「スンニ派とシーア派」という単純な対立ではなく、入り組んだ状況だとわかり、混乱してくる。
印象に残ったのは、過激派イスラム組織が「イスラム教への改宗を拒むものは殺してよい」とするイスラム法に基づいているということである。本書の後半では核問題について触れられているが、こんな危険な法に基づいた思想を持つ「イスラム国」が核を持ったらどうなるか…考えるだけで恐ろしい。

2・植民地統治と人材育成
植民地統治期に帝国がどのような人材育成を行ったかが、今日の現地の大学の存在に通じている、という話が面白かった。特に沖縄に対して高等教育機関を作らなかった日本と、戦後すぐに英語学校を設立して琉球大学を作ったアメリカという対比が興味深い。教育が政治と密接にかかわっていることを痛感させられる話である。

私にとって役立ちそうなのは、本文よりもむしろ本の最後に載っているブックガイドだ。お二人が薦める世界史の本がいくつか掲載されているので、とても参考になる。特に池上氏が薦める高校の「世界史A」の教科書はこれから探しに行きたいと思った。
池上彰・編「日本の大課題 子どもの貧困」(ちくま新書)
タイトルは「貧困」だが、書かれているのは貧困問題だけではない。本書では「多重逆境」という言葉が登場するが、まさにその言葉通り、児童養護施設をめぐる幾重にも重なった問題が浮き彫りにされている。(ゆえに本書のタイトルは適切でないように感じる。)



本書は大きく分けて2部構成になっている。

第1部は対談形式で、池上彰氏と児童養護施設の施設長である高橋利一氏の対話を通じて、児童養護施設の歴史や仕組み、直面している課題などを知ることができる。
何かトラブルが生じた場合、まず児童相談所が子どもを引き取り、そこでの判断によって子どもは児童養護施設に預けられることになる。現在児童養護施設は民間のものが中心だが、高橋氏の施設をはじめ、赤字経営のところも多く、一部の篤志家や企業の寄付などによって支えられているのが現状である。
驚いたのは、「子育ては親の責任だから、税金を使って子どもを育てるのはおかしい」と主張する人がいること。
確かに本来は親が責任を持って子育てをするべきだが、それが成り立たないケースもあることが問題なのであり、自己責任として処理してその問題を放置した結果、しわ寄せはすべて子どもにきてしまう。結果、何の責任もない子どもが犠牲になってしまうのだ。それを防ぐためには、社会的養護を維持しなければならないと思う。

第2部ではより学問的に子どもの社会的養護の問題が分析されている。
施設に子どもを預けることになった親たちのデータから、彼ら彼女らが抱える、生活保護、DV、精神疾患など多重の問題が浮き彫りとなる。中でも目を引くのは、子どもの父親の氏名すらわからないケースが24%もあることをはじめ、父親不在のケースが非常に多いことだ。施設に子どもを預ける親の8割が一人親であり、そのほとんどがシングルマザーである。
典型的なのは、もともと実家や親せきに頼れる人がいない状態の母親がDVなどを理由に離婚し、貧困や精神疾患に陥った結果、子どもを育てられなくなる、というケース。母親にばかり子育ての負担が重くのしかかって、つぶれていってしまう状況に女性としては憤りを感じる。
先の話に戻ってしまうが、それでもやはり「子どもを育てるのは親の責任だから援助はいらない」と言えるだろうか。

とはいえ、まずは児童養護施設に預けられる子どもを減らしていくのがベストである。親せきや地域とのつながりが薄まっている現在、国や自治体が親子を支え、社会的養護なしでも幸せに暮らしていける環境をととのえていくことが求められている。