妊婦と読書 ― ことばは、今も。
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津村記久子「とにかくうちに帰ります」(新潮文庫)
心惹かれるタイトルだ。



ドラマティックな展開など一切ない、どこにでもある会社の取るに足らないような日々が淡々と描かれている小説。
起こる「事件」といえば、豪雨で交通手段が途絶え、帰宅難民になったり、インフルエンザで社員の多くが会社を休んだり、といったどこの会社でもありえるような出来事で、あとはマイナーなフィギュアスケートの選手の応援に興じたり、嫌なタイミングで仕事の依頼をしてくる後輩にいらっとしたり、職場の先輩にお気に入りの文房具を盗られたのではないかと疑ってみたり…と会社生活での小さな出来事が綴られているだけ。退屈で、そしてリアルな会社員の日々が丁寧に描かれている。

個人的に心惹かれたのは、「職場の作法」の「ブラックボックス」でスポットライトが当てられている、「田上さん」の仕事ぶりである。おそらく専門的な知識などは不要の一般事務的な仕事(資料作成?)の担当者である田上さんは、頼まれた仕事を即座にこなして自分の能力の高さを示すのではなく、時にわざと時間をかけたり、「それは難しいですねえ」とやんわりと断ったりすることで、「自分の仕事はそんなに簡単にはこなせない仕事だ」と示す「ブランディング」をしている、というのだ。そして「どんな扱いを受けても自尊心は失わないこと」「不誠実さには適度な不誠実さで応えてもいい」ということを心構えにしている。
できることをあえてやらないというのは、「能力のない人」とみなされそうで、私にはできそうにないが、面白い発想だなと思った。
この田上さんをはじめ、人が嫌がっている話題をそうとは気づかずに持ち出し続ける無神経な北脇部長や、体調が悪くても会社を休まず、できる社員オーラと病原菌を振りまいている山崎さんなど、「他人のふりみてわがふり直せ」ということわざを思い出させられるような人々がたくさん登場する。読む中で、「いるいる、こういう人!」と登場人物たちに共感したり、、「こんな仕事の依頼の仕方はダメだよなあ」と思わず我が身を振り返ったりしてしまった。
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早坂優子「鑑賞のための西洋美術史入門」(視覚デザイン研究所)
美術館に行くのは好きだが、美術史の知識がないため、作品と作品のつながりがわからなかったり、歴史におけるその作品の意味などが理解できなかったりすることが多い。
点と点でしかない知識を結び付けようと、読んでみた本がこちら。



美術史の本は他にも何冊か書店に並んでいたが、①多くの作品が掲載されている、②初心者にもわかりやすく説明されている、③解説をしてくれるキャラクターがゆるくて面白い、という3つの理由から本書を選んでみた。
それでもルネサンス期が長くて途中でくじけそうになったが、なんとか読破できた。
以下、感じたことを箇条書きにしてまとめてみる。(すべて美術の知識のない素人の感想であることをご容赦いただきたい)

・作品のテーマは宗教画⇒歴史画や貴族などの肖像画⇒労働者の絵、と少しずつ庶民に近づいていく。
・「古典に還ろう」という運動は繰り返させる。美術は前に進んでいるのか、それとも戻っているのかよくわからない。
・現代音楽も素人には難解で理解しにくいが、現代美術も難解で、それがどういう主義で描かれたものなのかが分からないと価値が理解できない。具体的には後期印象派あたりからだんだんよくわからなくなってきて、絶対主義などもはやただの四角と線としか思えないし、抽象芸術、ダダイズム、シュルレアリスムなども理解不能である。これまた、芸術は進化しているのか退化しているのかよくわからない。

ロマン主義の作品は私好みかもしれない。今後、西洋美術を鑑賞するときは本書を振り返ってみたいと思う。
作品をただぼんやりと眺めるよりも、理解に深みが出るだろう。
草野真一「メールはなぜ届くのか」(講談社ブルーバックス)
先日、好奇心旺盛な祖母(94歳)に「デジタルってなんだい?」と聞かれ、何と答えたらよいものやら分からなかった。
さらに「アプリってなんだい?」と聞かれ、これも答えに困った。
アプリとはなんだろう!
考えてみたら、毎日使っているのに、インターネットの仕組みすらよくわからない。何か初心者向けにわかりやすく書かれている本はないものか…と探して見つけたのが、こちらの本。



本書では、メールが届く仕組みをはじめとして、インターネットの仕組みが基礎の基礎から説明されている。
デジタルデータがすべて1と0の列でできていることの説明からはじまって、郵便局などの身近な例にたとえながら丁寧に説明されているので、知識ゼロでもとてもわかりやすい。

本書を読んでいると、私たちがウェブページを検索して閲覧するまでに様々な工程があることがわかる。
そして、“データはパケットに分割され、また復元される”、
“ウェブページを閲覧するまでにルーターをいくつも経由して(たらいまわしにして)目的のウェブサーバまでリクエストが届く”、
など意外と効率の悪い(?)作業をしていることに驚き、それらの多くの動作を機械が一瞬にして終えてしまうことに感動を覚える。
グーグルの社員すらよく知らないであろう、「サーバーはどこにあるのか?」という新たな好奇心も芽生えてくる。

パソコンに苦手意識を持っている人におススメの1冊だ。