妊婦と読書 ― ことばは、今も。
本好きOLが妊婦になりました。妊娠生活と、読書記録を綴ります。
プロフィール

ようこ

Author:ようこ
本が好き!雑誌が好き!なアラサーOLです。

これまでの訪問者数

最新記事

カテゴリ

最新トラックバック

月別アーカイブ

最新コメント

フリーエリア

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

日本子どもの本研究会全国大会に行ってきました
日本子どもの本研究会全国大会

以前から、子どもの本について学んでみたいなと思っており、日本子どもの本研究会という一般社団法人が主催する全国大会に行ってきました。私は会員ではありませんが、日本子どもの本研究会はこうした催しの参加を非会員にも認める、開けた団体のようです。

まずは落合恵子さんの記念講演を拝聴。
さすがとてもお話が上手で、カッコいいおばさまでした。72歳という年齢を聴いてびっくり。こんな70代になりたいものだわ。
落合恵子さんと言えば、子どもの本専門店クレヨンハウスのイメージがありますが、事前にプロフィールなどを確認したところ、最近は政治的な活動が目立つ様子。いったいなぜ?と思いましたが、「子どもには良い本を与えていればそれで十分、というわけではない。いくら本の中の世界が素晴らしくても現実の世界が伴っていなければダメ。子どもたちのためにより良い社会を作っていくことが大人の使命。落ち着いた世の中でなければそもそも本を楽しむこともできない」といった趣旨のお話に納得。

ご自身の母親の話や、母親に読み聞かせをしてもらった時の記憶、母を介護した時のこと、政治に対する不満、最近執筆した本の話など、話題は多岐に渡っていましたが、とても面白かった。
特に、母親が親戚から離縁されても、非嫡出子として落合恵子さんを一人で産もうとしていた際に、近所の老夫婦が毎朝ひっそりと卵を届けてくれたというエピソードが良かった。何より、その老夫婦が恵子さんの母親に対し、「一人でかわいそうだから卵をあげる」と言うのではなく、「卵が余ってしまって困っているから、食べてくれる?」と言って卵を渡したというエピソードに人の温かさ、心の豊かさを感じてジーンとしてしまいました。(涙ぐんでいるお客さんも)

そのあとはワークショップで、読書のアニマシオンに参加。アニマシオンのなんたるかをあまり理解せずに参加したのですが、今回は、皆で共通の本を読み、クイズを作り、チーム戦でクイズに回答する、といった取り組みを経験しました。
限られた時間に、大人のみが参加するワークショップだったので、通常小学校などで導入するときとは少し異なるやり方でのワークショップだったようですが、なかなか白熱して面白かったです。そのクイズの特性から、表面的な理解にとどまってしまう恐れがありそうな取り組みだなとは思いましたが、本が嫌いな子、苦手な子にとってはゲーム形式で本と向き合え、読書への心の障壁が薄れて良いかもしれない、と思いました。

それにしても年齢層が高かった…60代が中心、といった印象だったので、定年後の読書ボランティアの方が多かったのかしら。
若い人ももっと興味を持ってもよいのでは?と思ってしまいました。
スポンサーサイト
恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)
国際ピアノコンクールを舞台に、四人のコンテスタントを中心とした人間模様と音楽を描いた小説。



プロのレベルとはかけ離れているが、私も学生時代は吹奏楽コンクールに出場し、今も趣味で音楽をやっているので、音楽の世界が独特であることや、コンクールのドラマ性などは実感できるものがある。
何百回、何千回と練習しようと舞台で演奏するのはたったの一度だけ、しかもコンクールにおいては、途中で選考から漏れてしまったら、それ以降の課題曲は一度も舞台で演奏せずに終わってしまうという、その無情さ。音楽は、演奏者のその時の精神状態を表し、変にあがってしまったら普段通りの演奏ができなくなり、今までの努力が水の泡になってしまうという恐怖。
また、プロになるには小さいころからひたすら練習に励み、楽器代、衣装代、渡航費などとにかく莫大なお金がかかるため、恵まれた家庭の子どもしか音楽を続けることはできず、さらには有名な先生に師事していないとコンクールで不利になるなど、音楽界の独特さも良く描かれている。

本書で中心的に描かれている四人は、一人一人様々な背景を持っており、偉大なる師、いつも連れ添ってくれた母、優しい祖母など、それぞれに多大な影響を与えてくれた人、いわばメンターを持っていて、そこに小説としての面白さがある。偉大な音楽家が遺した謎めいた推薦状に、異端のコンテスタント、自分を音楽の世界へと導いてくれた幼馴染との奇跡の再会など、いかにも小説らしい展開もあるが、随所で感動してしまうことも。特に栄伝亜夜が一次、二次へと進むにつれ、周囲のコンテスタントの影響を受けながら成長していくさまがよかった。
このような一人一人の背景と心境を読んでいるうちに読者はおのずといずれかのコンテスタントを応援したくなり、まるでひいきのチームが出場しているスポーツの実況中継を見ているような感覚で、はらはらとしながら結果発表のシーンを待ちわびるのだ。

そころで、ピアノコンクールが舞台なだけあって、この小説の大半はピアノの演奏シーンで構成されている。音を聴かせることのできない小説において、音楽を表現するのはさぞ難しいだろうが、それぞれの演奏者の音の特長や、曲が持つ歴史的背景、さらに後半ではその音楽から喚起される物語を表現することで、聴こえないはずの音を「聴かせて」いる。その表現力が素晴らしい。
とはいえ、やはりどんな曲か実際に聴いてみたいな、と思ったら、本書に登場するピアノ曲のCDも販売されていた。さすがだ。こちらも欲しくなってしまうのが人情である。





ところで、私はというと、天才肌タイプよりも一般人に近い人間に興味がわくらしく、「生活者の音楽」をめざし、楽器屋さんに勤務しながらコンクールに臨む最年長の明石を応援していたが、さて、果たして結果は…?