妊婦と読書 ― ことばは、今も。
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角田光代「さがしもの」(新潮文庫)
本にまつわる小さな物語ばかりを集めた短編集。

さがしもの (新潮文庫)さがしもの (新潮文庫)
(2008/10/28)
角田 光代

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本は人と人を媒介し、思い出の中に溶け込み、時には長い年月を経て再び読者の前に姿を現すこともある。
本を読み返した時、読者はそこに以前読んだ時とは違った意味を見出す。そして、自分自身の成長や変化に気づかされる。
そんな自分と本とのこれまでの付き合い方を思わず振り返って考えてしまう。

9編ある作品のうち、2編を紹介。

「ミツザワ書店」…作家デビューを果たした若い男性が、数年ぶりに故郷の田舎町に帰り、町に一軒だけある本屋、ミツザワ書店を訪れる。ミツザワ書店の店員のおばあさんは商売っ気が全くなく、いつも客そっちのけで本の山にうもれながら読書にふけっていた。子どもの頃、足繁く通ったその本屋で、男性は一度だけ万引きをしたことがあった。そのお詫びをしよう、と思ったのである。ところが――。

古本屋だが、私の実家の近所にも似たような店があった。本の山の中でひたすら本を読みふけっている、商売をしているんだかいないんだかよくわからないおじいさんがいる店。あのおじいさんはいまどうしているのだろう。
こういう町の小さな本屋は、地元の人と本との出会いの場。大型書店にはない味があっていいなとしみじみ思う。

「初バレンタイン」…はじめての彼氏ができた大学生の千絵子。バレンタインにチョコレートを買おうにも、混雑したデパートで気おくれしてしまってチョコレートが買えず、自分のお気に入りの本だけをプレゼントすることにする。しかし、プレゼントが本だと知った彼が戸惑っているのを見て、本をプレゼントしたことを後悔する。せっかく好きな人と一緒にいられるのに、どうしてもぎこちなくなってしまい、苦い経験をする千絵子とその彼。初々しさがほほえましいやら、切ないやら。

後半では千絵子は30歳になっており、結婚を控えている。相手は、大学生の頃の彼ではない。彼女はもうプレゼントに悩むこともない。彼の前でも気をつかわず、堂々とふるまうことができる。そして、本を見るまで、はじめての彼氏のことさえ忘れてしまっていた――。
千絵子は何かを失ったかわりに、何かを得た。それは良いとか悪いとかではなく、時の流れが生む自然の現象なのだが、戻れない過去にそっと触れた時の物寂しさを感じさせられる作品。

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