妊婦と読書 ― ことばは、今も。
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白河三兎「私を知らないで」(集英社文庫)
ミステリアスで切なさ漂うタイトルに惹かれて購入。

私を知らないで (集英社文庫)私を知らないで (集英社文庫)
(2012/10/19)
白河 三兎

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主人公の「僕」は転校を繰り返す中で、教室内での上手な立ち振る舞いの仕方を身につけた中学生。
クラスには「キヨコ」と呼ばれる、美しい女の子がいる。彼女は家庭に大きな問題を抱え、とても貧しいとの噂で、
クラスのみんなから無視されている。
彼女が気になるものの、教室内での自分の地位を維持するため、キヨコにはかかわらないことを選択した「僕」。
しかし、「空気が読めない」タイプの転校生、高野が現れてから、事態は大きく展開していく――。

いかにも大人が書いた小説の中の中学生、といった非現実的なキャラクター設定が受け入れがたく、
特に計算高くて達観しているような主人公の「僕」が嫌なヤツで読んでいて不快だったが、
それでも先の展開が気になって読破してしまった。

家族とは何か、幸せとは何かを訴えかけてくるテーマ性と、
非現実的ではあるものの、登場人物の一人一人に深みがあり、
読んでいくうちにその深みの真相が見えてくるのがこの小説の魅力かもしれない。

そして、自分を安全地帯に置くことに躍起になっていた「僕」が、
その代償としてかけがえのないものを失ってしまったように感じられるラストシーンがずしっとくる。
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