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角田光代×千田善対談「ぼくたちは戦場で育った」
昨日は、「ぼくたちは戦場で育った」の日本語版出版を記念したトークイベントに行ってきた。

★☆「ぼくたちは戦場で育った」とは☆★



子ども時代にサラエボ包囲戦を経験した人たち(1974~1992年生まれの人たち)に対し、自身も戦争経験者であるヤスミンコ氏が、「あなたにとって戦時下の子ども時代とはなんでしたか?」と呼びかけ、集まったショートメッセージをまとめた本。旅先で本書と出会った作家の角田氏が翻訳を行い、千田氏の監修のもと、日本語版の出版が実現した。


★☆「サラエボ包囲戦」とは☆★
1992年~1995年に起こった戦争。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボが包囲され、多くの一般市民が犠牲になった。

当初は角田氏、千田氏お二人のみのイベントの予定だったが、急遽、原書の編者であるヤスミンコ氏も来日。
トークイベントでは、監修者の千田氏によるユーゴ紛争とサラエボ包囲戦が起こった歴史的背景等の説明、サラエボの紹介から始まり、角田氏とヤスミンコ氏の出会い、ヤスミンコ氏の体験談、本作りの苦労など話題が多岐に渡った。
あれもこれも書くと長くなるので、印象に残ったお話をいくつか。

★顔のない「数字」から顔のある「固有名詞」へ
例えば戦争の報道では、「何日に何人が死亡」という数字だけが一人歩きをする。そして戦争が長引けばやがて数字すら報道されなくなる。そこには戦場で生活する一人ひとりの顔がない。
しかし本書ではコメントを寄せた人の生年月日と氏名を入れている。そのことによって、戦時下を生きた一人ひとりの人間のあり方が生々しく伝わってくる。
サラエボ旅行中に死者の生年月日と名前が刻まれたトンネルを見て、当時いかに幼い子供たちがたくさん亡くなったかを痛感したと、角田氏は涙ながらに語っていた。戦争を無味乾燥な「数字」ではなく、「固有名詞」で捉えることの重さを感じた。

★ユーモアという武器
本書に書かれているのは、辛く恐怖に満ちた戦争体験――だけではない。そこには日常があり、笑顔すらある。
印象的だったのは、サラエボの人たちの持つ独特のユーモアだ。彼らは戦争さえもジョークに変えてしまう。トークイベント中もヤスミンコ氏からいくつものジョークが紹介された。日本人の感覚からしてみると不謹慎にも思えるが、ユーモアは誰も傷つけない武器、すなわち自分を守るものだという角田氏の話が印象的だった。戦時下でも楽しみを忘れないということは彼らにとって精一杯の抵抗だったのだ。

★同世代が戦争経験者であるということ
原書の編者、ヤスミンコ氏は1988年生まれ。そしてこの本にコメントを寄せてくれた人々は、先述のとおり、70年代から80年代生まれの人たちだ。つまり、ちょうど私と同世代の人々が戦争経験者として語っているということになる。
われわれ日本人にとって「戦争経験=祖父母から聞くもの」、という認識があり、ともすると戦争は過去のことだと思いがちだが、サラエボの若い世代が戦争を語ることによって、戦争は過去のものでも、ある地域に限られたものでもないのだと気づかせてくれる。

しかし、会場を見まわしたところ、想像していたよりも来場者の年齢層が高く、私と同世代の人々が少なかったのがちょっと残念だった。


肝心の本はまだ買ったばかりで通読できていないので、全部読み終わったら改めて感想などをまとめたい。
また、自分の知識のなさを痛感したので、この機会に旧ユーゴスラビアやユーゴ紛争について学びたいと感じた。
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