妊婦と読書 ― ことばは、今も。
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飛鳥井千砂「砂に泳ぐ」(KADOKAWA)
アラサー女子をリアルに描く飛鳥井千砂さんの小説が好きで、『アシンメトリー』『学校のせんせい』『サムシングブルー』に続き、本書で4冊目の読了。



地方の携帯ショップ店員として働いていた紗耶加は、仕事のストレスやかみ合わない彼氏とのやりとり、そして自分の生きる狭い世界に息苦しさを覚え、上京する。
携帯会社のコールセンターで働き始めるものの、慣れない都会暮らしからストレスによる急性のめまいに襲われる。そんな紗耶加は自分を助けてくれた優しい男性、圭介と付き合い始めるが、彼の精神的不安定さや違和感を覚える言動に、次第に悩まされ、振り回されていく。圭介と別れ、もがきながらも、やがて紗耶加はフォトグラファーになるという自分の夢を切り開いていく。

本の帯を見ると、この小説は一人の女性が次第に強さを身につけていく成長物語であるかのように説明されているが、私の印象では、紗耶加は初めから芯の強い女性である。次々と店員が離職していく携帯ショップにおいて、同僚の嫌みやモンスター顧客にも屈せず働き続け、たった一人で身寄りのない東京へ向かい、ストレス性の病に襲われても決して故郷に泣きかえることなく、自分の居場所を見出していく。その姿はとてもたくましい。
一方で恋愛に対しては潔い反面、一種の冷たさのようなものを感じた。はじめの彼氏、智彦とは会話がかみ合わず、違和感を覚えるという理由で別れ、二人めの彼氏、圭介は精神的に弱く、紗耶加にすがりついてくるがそれも切り捨ててしまう。強いといえばそうなのかもしれないが、特に圭介の切り捨て方は、読んでいて彼がちょっとかわいそうな気もした。

さて、冒頭で書いたとおり、飛鳥井千砂さんの作品はリアリティがあって好きなのだが、飛鳥井さんは特に「人間関係が壊れていくさま」を描くのが上手だなあ、と思う。女の友情にひびが入るシーンや、今回の作品でいうと、彼氏とすれ違っていく会話などの描き方が卓越だと思うのだ。ただ、リアリティという部分から言うと、今回の作品は少し話がうまく運びすぎているかもしれない。後半の圭介と別れた後の紗耶加の葛藤などが描かれていると、より良かったと思う。
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